骨盤臓器脱
概要
骨盤臓器脱とは、膀胱瘤、子宮脱、直腸瘤、小腸瘤、腟断端脱のことで、閉経によるエストロゲンの低下や妊娠、分娩による骨盤支持組織、子宮支持組織の脆弱化が主な原因となります。高齢の多産婦の方に多く発症します。
症状
性器の下垂感や下腹部の違和感、頻尿、尿失禁、尿閉、便失禁、骨盤痛などが見られます。
検査・診断方法
内診・視診にてそれぞれの臓器の下垂または脱出を認めます。
治療法
保存療法として骨盤底筋訓練やペッサリー挿入がありますが、症状の重症度に応じて手術療法が検討されます。
閉経関連尿路性器症候群
(GSM: Genitourinary syndrome of menopause)
概要
閉経関連尿路性器症候群(GSM)とは、閉経に伴うエストロゲンの慢性的な低下により生じる、外陰部・膣・尿路系に関連する慢性的かつ進行性の症候群です。
以前は「萎縮性膣炎」や「泌尿生殖器萎縮」と呼ばれていましたが、膣に限定されない広範な症状を含むことから、「Genitourinary Syndrome of Menopause(GSM)」と定義されました。主に閉経前後(45歳以降の女性)〜 高齢期にかけて発症し、加齢とともに症状は進行する傾向があります。
症状
外陰部や腟の乾燥感、痒み、痛み、灼熱感、臭い、緩みなど
性交時の痛み、出血、性感の減弱など
尿道の痛み、残尿感、尿漏れ、繰り返す尿路感染、頻尿、夜間頻尿など
検査・診断方法
問診・尿検査・超音波検査・必要に応じて膣pH測定などを併用
治療法
- 局所ホルモン療法:
膣用エストロゲン製剤(腟錠、腟内クリーム、外陰部軟膏など) - 非ホルモン療法:
膣保湿剤・腟潤滑剤(OTC製品も含む)・漢方薬・レーザー治療(保険適応外)など - 全身ホルモン療法(HRT)など
- 当院では全身ホルモン療法やレーザー治療は行っておりません。
- 腟内クリーム、外陰部軟膏をご希望の方は自由診療(自費診療)となります。
バストミン(4g) | 3,000円(税込)/1本 |
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ヒメロス(3g) | 3,000円(税込)/1本 |
尿道カルンクル
概要
尿道カルンクルとは、女性の尿道口周囲にできる良性腫瘍です。多くは閉経後の女性に見られ、エストロゲン低下に伴う萎縮性変化が関与するとされます。外見は「赤く柔らかい小指頭大の腫瘍」で、尿道口の後壁(6時方向)に生じやすいです。
症状
無症状のことが多いですが、症状としては接触出血、違和感・異物感、排尿時痛、排尿困難、局所の疼痛、感染などがあります。
検査・診断方法
視診や尿検査などで診断しますが、腫瘍鑑別が必要な場合は病理検査(切除生検)を行うこともあります。
治療法
保存的治療は軽症例に適応があり、ステロイド軟膏やエストロゲンクリームの外用、感染があれば抗菌薬を使用します。また、症状が強い、再発、または増大傾向にて腫瘍の鑑別が必要な場合は外科的切除が検討されます。