前立腺とは

前立腺は付属生殖腺のひとつで膀胱頚部の下に位置し、前立腺尿道を取り囲んでいます。前立腺液(精液の液体成分の約5-10%)を分泌する栗の実程度の大きさの腺組織で約18gの重さがあります。

急性前立腺炎

概要

急性前立腺炎は前立腺に生じる細菌感染症で、原因菌は大腸菌が最も多いとされます。青壮年男性に好発し、会陰部の圧迫や刺激が誘因となり、尿道カテーテル操作などにより高齢男性に生じることもあります。

症状

症状として、排尿時痛、発熱、悪寒、頻尿、会陰部の不快感などをきたすこともあります。

検査・診断方法

採血、尿検査、尿培養検査など。

治療法

抗菌薬にて加療します。

慢性前立腺炎/
慢性骨盤痛症候群

概要

慢性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群とは前立腺に炎症が生じて様々な症状を呈する疾患です。慢性前立腺炎には、細菌の感染が関与する慢性細菌性前立腺炎と、細菌の関与を認めない慢性骨盤痛症候群に分けられます。特に、慢性骨盤痛症候群は10代後半から40歳代にかけて良く見られ、患者数は前立腺炎全体の中で最多とされます。原因として、培養困難な微生物の関与、骨盤底筋群の過緊張、前立腺周囲の血流障害(長時間の座位や自転車・バイクの使用頻度)、精神的要因などが考えられていますが現時点でもはっきりと解明されておりません。

症状

外陰部や会陰部、鼠径部、下腹部、腰などの不快感、排尿時の違和感、尿道痛、頻尿、残尿感、射精時の違和感、勃起障害など

検査・診断方法

尿検査や超音波検査、問診票など

治療法

細菌性であれば抗菌薬で治療します。
非細菌性であれば難治性とされ、生活指導や症状に合わせて内服薬を調節します。

前立腺肥大症

概要

加齢に伴う前立腺の過形成によって下部尿路閉塞が生じ、様々な下部尿路症状を呈するようになった状態。病因として男性ホルモンが強く関与しているとも言われています。50-60歳代では50%、80歳代では90%が組織学的に前立腺肥大がみられます。

症状

頻尿、残尿感、尿意切迫感、夜間頻尿、尿線途絶、尿勢低下、尿閉など

検査・診断方法

超音波 尿流検査 残尿検査 問診票など

治療法

薬物療法、手術療法

前立腺癌

概要

前立腺に生じる悪性腫瘍で多くが病理学的に腺癌といわれるものです。50歳以上の男性に多く、男性ホルモン依存性に増殖する性質をもちます。危険因子としては、食生活や、加齢、遺伝などがあり、もともと欧米人に多いとされていましたが、日本でも近年増加傾向にある疾患です。

症状

早期には無症状ですが、進行してからは排尿困難や血尿を認めることがあります。また前立腺癌は骨に転移しやすく、骨の痛みや病的骨折、脊髄麻痺などをきたすこともあります。

検査・診断方法

血液検査でPSAを測定します。またMRIなどの画像検査も有用です。
また、前立腺に対して生検を行い確定診断をします。

治療法

転移の有無や悪性度によっても異なりますが、手術療法、放射線療法、ホルモン療法などがあります。