腎臓とは

腎臓は血液の中の老廃物を取り除いて尿を生成し、体の中の体液のバランスを維持調節する器官です。

尿路結石

概要

尿路結石とは尿成分の一部が析出・結晶化し、尿路(腎臓・尿管・膀胱・尿道)で沈着および増大して形成された石様の構造物のことをいいます。結石の種類によっては、X線検査に写らなかったり、内服にて溶ける結石と溶けない結石があり判別を要します。30歳から50歳代の男性に多く、時に高熱をきたすなどの尿路感染症を併発すると重篤な状態となり注意が必要です。

症状

結石の位置によって症状が異なります。

  • 腎結石:症状は少なく腰部の鈍痛や血尿などを認めます。
  • 尿管結石:腰背部から側腹部、下腹部の激痛が多く、血尿などを認めます。
  • 膀胱結石:排尿時の痛みがあり、血尿や排尿障害を認めることがあります。
  • 尿道結石:排尿時痛や血尿、尿線が途絶し、時に尿閉をきたすことがあります。

検査・診断方法

尿検査、画像検査(レントゲン・CT検査など)、採血など

治療法

内服加療 手術療法 など

急性腎盂腎炎

概要

尿路感染症のうち、腎実質、腎盂、腎杯に及んだ細菌感染症のことをいいます。先行する膀胱炎により上行性に感染することがあります。

症状

発熱、悪寒、腰背部痛、悪心、嘔吐など

検査・診断方法

採血 尿検査 尿培養検査 超音波検査など

治療法

抗菌薬治療

水腎症

概要

水腎症とは、何らかの原因で尿路の通過障害が生じた結果、腎盂・腎杯が拡張している状態のことを指します。原因としては、腎盂尿管移行部狭窄や尿管結石、腎盂癌や尿管癌など悪性腫瘍が原因のこともあります。尿のうっ滞から尿路感染症を合併しやすく、長期間にわたると腎臓の機能が徐々に低下します。また、両側に水腎症が生じた場合は、腎後性腎不全といって腎機能が高度に低下し、尿毒症の症状が現れることがあります。

症状

ゆっくりと進行した場合は無症状なこともありますが、急性の水腎症の場合は腰や背部に痛みを認めることがあります。

検査・診断方法

採血 超音波検査 画像検査 など

治療法

原因の治療 鎮痛薬 腎瘻造設術 尿管ステント留置術 カテーテル挿入術など

腎膿瘍・腎周囲膿瘍・膿腎症

概要

腎実質に感染性の膿瘍が形成されたものを膿腎症、多くが腎膿瘍から波及しGerota筋膜内まできたした膿瘍を腎周囲膿瘍と言います。また、腎実質を破壊するような感染を伴う水腎症をきたした状態を膿腎症と言います。どれも治療の遅れや治療選択の誤りにより敗血症性ショックに至るなどの重篤になる可能性があり注意が必要です。

症状

発熱、側腹部背部痛、悪心、嘔吐、悪寒、戦慄、全身倦怠感など

検査・診断方法

採血 尿検査 尿培養検査 超音波検査 造影CTなど

治療法

抗菌薬治療 外科的ドレナージ

腎嚢胞・多発性嚢胞腎

概要

腎嚢胞とは、腎臓に液体のたまった袋状の構造物ができる状態です。単純性腎嚢胞は健診や画像検査で偶然見つかることが多く、多くは経過観察となります。多発性嚢胞腎は、両側の腎臓に多数の嚢胞が生じ、腎機能低下や高血圧をきたすことがある疾患です。

症状

無症状、腹部膨満感、腰背部痛、血尿、高血圧、尿路感染症、腎機能低下など

検査・診断方法

採血 尿検査 超音波検査 CT検査 MRI検査など

治療法

経過観察 血圧管理 感染や出血への治療 腎機能低下に対する治療 必要に応じて専門医療機関へ紹介

腎血管筋脂肪腫

概要

腎血管筋脂肪腫とは、血管・筋肉・脂肪成分からなる腎臓の良性腫瘍です。健診や画像検査で偶然見つかることがあります。多くは経過観察となりますが、大きいものや出血リスクが高いものでは治療が必要になることがあります。

症状

無症状、側腹部痛、腰背部痛、血尿、腫瘍内出血、腹部違和感など

検査・診断方法

尿検査 採血 超音波検査 CT検査 MRI検査など

治療法

経過観察 出血リスクが高い場合は動脈塞栓術や手術療法など

腎癌

概要

腎癌は50-60歳代の男性に多いとされ、現在では無症状のうちに健康診断やほかの目的で行われた画像検査で偶然に発見されることが多い腫瘍です。特に健康診断の超音波などで腎腫瘍が指摘された場合は、腎癌なのかそれ以外(腎血管筋脂肪腫など)の良性腫瘍なのかを見分けることが必要とされます。

症状

無症状のことが多いですが、体重減少、発熱、全身倦怠感、貧血、肉眼的血尿、腰背部痛、腹部腫瘤を自覚する場合もあります。

検査・診断方法

超音波 造影CT検査 など

治療法

手術療法 薬物療法

腎盂癌・尿管癌

概要

腎盂または尿管に生じる悪性腫瘍でほとんどが尿路上皮癌とされます。高齢の男性に好発しますが、リスク要因として喫煙や芳香族アミンを扱う職業の方に発生しやすいなど、膀胱癌と類似する性質をもちます。また、尿路上皮(腎盂~尿管~膀胱)にかけて再発や合併して発生することもあります。癌細胞が周囲に浸潤していた場合は水腎症をきたしたりして痛みが出てくる場合があります。

症状

血尿 側腹部痛

検査・診断方法

尿検査 尿細胞診 造影CT検査 など

治療法

手術療法 全身化学療法 免疫チェックポイント阻害薬 など

副腎腫瘍

概要

副腎は腎臓の上方に位置しステロイドホルモンやカテコールアミンを分泌する内分泌器官です。そのためその場所に腫瘍ができると、ホルモンに関与する様々な症状をきたすことがあります。副腎腫瘍の種類として、褐色細胞腫、原発性アルドステロン症、クッシング症候群などがあります。

症状

無症状の場合もありますが、腫瘍の種類によってさまざまな症状を呈します。

検査・診断方法

ホルモン採血 CTなど画像検査

治療法

手術療法など

腎外傷

概要

腎外傷とは、交通事故、転倒、スポーツ外傷などにより腎臓が損傷した状態です。軽症のものから、腎臓の裂傷や出血を伴う重症例まであります。血尿や側腹部痛をきっかけに見つかることがあります。

症状

血尿、側腹部痛、腰背部痛、腹痛、発熱、出血による血圧低下など

検査・診断方法

採血 尿検査 超音波検査 CT検査など

治療法

安静 経過観察 止血処置 輸液・輸血 必要に応じて動脈塞栓術や手術療法など

腎盂尿管移行部狭窄症

概要

先天的な腎盂と尿管の移行部に狭窄があることで、腎盂・腎杯が拡張し水腎症を呈する疾患です。生後6か月から3歳までで8割が自然軽快します。成人になっても、水腎症の程度が軽度で無症状なものは治療を必要としませんが、水腎症の程度が大きい、痛みが強い、血尿がある、尿路感染症を繰り返す、腎機能の低下がみられるなどの症状の方は治療が必要です。

症状

腰痛、発熱、腎盂腎炎の併発、血尿、結石形成、腎機能低下など

検査・診断方法

採血、尿検査、超音波、画像検査など

治療法

手術療法(ロボット支援手術)など

重複腎盂尿管

概要

重複腎盂尿管は、1つの腎臓に対して腎盂及び尿管が重複して存在している先天的な異常で、尿管形態異常の中では最も頻度が高いと言われます。2つの尿管が別々に膀胱に開口しているものを完全型、尿管が途中で癒合し共通の尿管口をもつものを不完全型といいます。

症状

重複腎盂尿管のみでは症状は認められませんが、尿管異所開口や膀胱尿管逆流症、尿管瘤などを合併しやすく、その場合は発熱や疼痛、排尿障害、失禁などを認める場合があります。

検査・診断方法

画像検査など

治療法

付随する合併症の治療

下大静脈後尿管

概要

下大静脈後尿管とは、尿管が下大静脈の後方を回って走行し、内前方に出たあと、下大静脈の前内側に沿って下降し膀胱に到達するまれな先天異常です。原因は尿管自体の発生異常ではなく下大静脈の発生異常によるもので多くが右側に生じます。下大静脈に尿管が圧排されて通過障害が生じると、水腎症、尿管結石、尿路感染症を合併したりすることがあります。

症状

側腹部痛や発熱など

検査・診断方法

画像検査など

治療法

症状がある際は手術療法

馬蹄腎

概要

左右の腎臓の下極がつながり、馬蹄のような形をしている先天的な腎臓の形態異常です。無症状で経過することもありますが、尿の流れが悪くなり、水腎症、尿路結石、尿路感染症を合併することがあります。

症状

無症状、腰背部痛、腹部違和感、血尿、尿路感染症、尿路結石に伴う痛みなど

検査・診断方法

尿検査 採血 超音波検査 CT検査 MRI検査など

治療法

無症状では経過観察 合併する尿路結石・尿路感染症・水腎症などに対する治療

遊走腎

概要

遊走腎とは、立位や体位の変化により、腎臓が通常より大きく下方へ移動する状態です。やせ型の方や女性に比較的多いとされ、右腎にみられることが多い疾患です。無症状のこともありますが、腎臓の移動により尿管が曲がったり、尿の流れが悪くなったりすることで症状を認めることがあります。

症状

無症状、腰背部痛、側腹部痛、腹部違和感、血尿、悪心、立位で悪化し横になると軽快する痛みなど

検査・診断方法

尿検査 採血 超音波検査 CT検査など

治療法

症状が軽い場合は経過観察 疼痛に対する治療 水腎症・尿路感染症などを伴う場合は原因に応じた治療 症状が強い場合は手術療法など

ナットクラッカー症候群

概要

ひだり腎静脈が上腸間膜動脈と腹部大動脈の間に挟まれ、圧排を受けることにより静脈内圧が上昇する現象のことを言います。血尿やひだり精索静脈瘤の原因になることがあります。CT検査などでひだり腎静脈がクルミ割り器に挟まれているような様子からこのように呼ばれます。

症状

尿潜血、肉眼的血尿など

検査・診断方法

尿検査、CT検査など

治療法

症状が軽微であれば経過観察

腎動静脈奇形・腎動静脈瘻

概要

腎動静脈奇形・腎動静脈瘻とは、腎臓内で動脈と静脈が異常につながる血管の病気です。先天的に生じる場合のほか、外傷、手術、腎生検などをきっかけに生じることがあります。血尿や高血圧の原因となることがあります。

症状

無症状、血尿、腰背部痛、側腹部痛、高血圧、貧血など

検査・診断方法

尿検査 採血 超音波検査 造影CT検査 MRI検査など

治療法

経過観察 血尿や出血が強い場合は血管内治療による動脈塞栓術など

腎梗塞

概要

腎梗塞とは、腎臓へ血液を送る動脈が血栓などで詰まり、腎臓の一部または全体の血流が低下する疾患です。不整脈、動脈硬化、血栓症などが関係することがあります。突然の側腹部痛や血尿で発見されることがあります。

症状

突然の側腹部痛、腰背部痛、腹痛、発熱、悪心、嘔吐、血尿、腎機能低下など

検査・診断方法

採血 尿検査 造影CT検査 心電図検査 超音波検査など

治療法

原因に応じた抗凝固療法・抗血小板療法 疼痛管理 腎機能管理 必要に応じて専門医療機関へ紹介

腎糸球体疾患

概要

糸球体疾患では腎臓の糸球体が様々な機序により障害され、蛋白尿や血尿、腎機能障害を呈する病気で、免疫学的機序や血管障害、脂質代謝異常、糖代謝異常などが関与するとされます。蛋白尿が高度となり、血中の蛋白質量が減少した病態をネフローゼ症候群と言います。尿沈渣で変形赤血球や赤血球円柱を認めるとき、蛋白尿ではアルブミンが主体であるときに糸球体疾患が疑われます。

症状

血尿、蛋白尿、高血圧、浮腫 など

検査・診断方法

採血 尿検査 超音波 など

治療法

適切な治療をしなければ障害は進行し腎不全に至ることもあります。
急速に進行するものや腎生検が必要な場合もあり腎臓内科専門医へ紹介となります。

腎尿細管・間質性疾患

概要

腎臓の尿細管・間質性疾患では尿細管機能が障害を受けると酸塩基平衡異常や電解質異常をきたします。症状が高度になると不整脈や脱力をきたすことがあり、また、成長障害や尿路結石が出現することもあり注意が必要です。

症状

血尿、蛋白尿、不整脈、筋力低下、脱力、成長障害 など

検査・診断方法

採血 尿検査 超音波 など

治療法

上記疾患が疑われた場合の治療は腎臓内科専門医へ紹介となります。